1.趣旨
NPO法施行から25年が過ぎ、市民の趣味より派生する活動や、社会課題を解決するための事業など幅広く多様なNPOが活躍するようになりました。
中には、行政ではカバーしきれない市民の困りごとを解決するため、寄付を募り事業を実施するNPOだけではなく、行政から委託を受けたり、民間の助成金を活用するなど、様々な方法で資金を獲得するNPOが多く存在します。
その中で、近年休眠預金等の活用や一部助成金においては事業の「評価」をおこないその結果を報告するように求めることが増えてきました。たしかに、行政のお金や民間の助成、市民からの寄付にしても、それらがどのように使われどのような変化が起きているのか、お金の出し手に限らず気になるところでしょう。受益者や社会にとって「良い」状態になるように、どのようにお金が使われたのかNPOが問われているといっても過言ではありません。
一方で、そういったお金を使うNPOが、どのような成果が出したのかを示すことは、なにも特別なことではありません。資金の出し手や活動の支援者と良好な関係を築いていくために、そして自分たちの活動の結果に責任をもつためにも必要な行為と言えるでしょう。
しかし、「評価」は「誰かにされるもの」という意識を持つ人たちも少なからず存在していること。そして「成果の可視化」という意識が先行し「どのような、どれくらいの『成果』がこの事業にはあるのかを示さなければならない」というイメージにより「評価は難しそう」、「小さなNPOにはできない」と敬遠されがちだと考えられます。
「評価」とは成果や課題を示すだけではありません。
その事業の社会課題は確かに存在するのか確かめること。その課題を解決したあとどのように社会に変化が起こるのかを検証すること。その事業の実施方法と起こしたい社会の変化が合致しているのかどうか検証すること。そして、起こしたい変化が起こっているのか事実をもって確かめること。費用対効果はどうだったのかを検証すること。これらが事業評価(プログラム評価)と呼ばれる一連の流れであり、事業を実施して起こった良いことや課題の列挙をするだけでは評価とは言えません。
上述の通り、事業評価に取り組むことはその事業を良くしたり、説明責任を果たすだけでなく、NPO自体の活動の基盤を整えたり、そもそも「なんのために」「だれのために」活動しているのかというNPO活動の原点に立ち返る機会を得ることができます。評価文化が根付くことは、NPO等の活動自体が自立、自律的に社会の中に存在し、自分たちの社会を自治していくことにつながるのです。
そして、評価目的に応じた手法やタイミング等を検討できるようになるために、そしてどんなに小さな団体でも評価に取り組めるよう、NPO自体が事業評価手法を身に着けることはもとより、各地域の中で評価の伴走ができる存在や評価的思考を醸成できる環境が必要です。
私たちは、日本各地でNPO等の活動が主体的に評価に取り組み、市民社会を成熟させていくことに寄与するべく団体を設立します。
2.設立に至る経緯
2018年4月 | 日本NPOセンター主催で事業評価コーディネーター養成講座を2年間開催。 設立発起人の石本、岩﨑、高橋、高平、松村が受講。 |
2020年12月 | 設立発起人を含む養成講座参加者らが執筆し、日本NPOセンターより「これならできる!事業評価ワークブック ~NPO活動を豊かにするための評価の旅~」発行 |
2021年 | 養成講座参加者の有志で「事業評価コーディネーター友の会(通称、NECOゼミ)」の活動を開始 |
2022年8月 | 「事業評価ワークブック勉強会」をオンラインで開催 |
2023年4月 | NECOゼミ新潟合宿を開催 |
2023年9月 | 「評価入門&評価の指標づくりセミナー」を郡山現地とオンラインのハイブリッドで開催 |
2024年1月 | 「評価、やってみたよかった-事例から学ぶ、評価のはじめの第一歩」を東京現地とオンラインのハイブリッドで開催 |
2024年5月 | 「評価報告書を読む会」の定例開催を開始 |
2024年6月 | 「評価、やってみてよかった2-評価は団体にどう影響を与えたのか」を大阪現地とオンラインのハイブリッドで開催 |
2024年7月 | かながわNPOパワーアップ研究会主催「NPO事業評価勉強会」にNECOゼミメンバーが講師として登壇 |
2024年8月 | 「特定非営利活動法人NPO事業評価コーディネーター友の会」設立総会 |
2024年8月22日
特定非営利活動法人NPO事業評価コーディネーター友の会
発起人一同
石本 貴之(新潟県)
岩﨑 大樹(福島県)
高橋 義博(東京都)
高平 亮(岡山県)
松村 幸裕子(大阪府)
山脇 克子(東京都)